サーマルスロットリングは、CPUやGPUが高温になることで動作クロックを強制的に落とす現象です。
動画編集の書き出し中に突然処理速度が低下する場合、その多くはこれが原因です。
特に以下のような症状が出る場合、冷却不足の可能性が高いです。
- 書き出し開始直後は速いが、数分後に速度が落ちる
- CPU使用率は高いのにクロックが下がっている
- ファンが最大回転しているのに処理時間が伸びる
- ノートPCで本体が触れないほど熱くなる
冷却を改善するだけで、書き出し時間が20〜40%短縮するケースもあります。
CPUやGPUの性能が足りないのではなく、「熱で性能が制限されている」状態だからです。
比較・評価
| 冷却方法 | 効果 | 費用 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 空冷(タワー型クーラー) | ○ | 5,000〜15,000円 | デスクトップ |
| 簡易水冷(240mm) | ◎ | 10,000〜20,000円 | デスクトップ |
| 冷却パッド | △〜○ | 3,000〜8,000円 | ノートPC |
| サーマルグリス再塗布 | ○(旧PCに有効) | 500〜2,000円 | デスクトップ・ノート |
空冷(タワー型クーラー)
- 120mm / 140mm ファン搭載
- メンテナンスが容易
- コストパフォーマンスが高い
- 中〜上位CPUまで対応可能
長時間の動画書き出しを行うなら、純正クーラーではなく大型空冷に変更するだけでも温度が5〜15℃下がることがあります。
簡易水冷(AIO 240mm)
- 放熱効率が高い
- 長時間高負荷に強い
- 静音性が比較的高い
特にハイエンドCPU(i7 / i9 / Ryzen 7 / 9)では、
空冷ではピーク温度が90℃近くになるケースがあります。
240mm以上のラジエーターを使用することで、
高負荷状態でもクロック低下を抑えられます。
冷却パッド(ノートPC)
ノートPCは内部構造上、排熱余裕が小さいため、
冷却パッドによる底面吸気強化は有効です。
改善幅の目安:
- CPU温度:5〜15℃
- 書き出し時間:5〜20%短縮(機種依存)
ただし限界があります。
ハイエンド編集用途ではデスクトップに劣ります。
サーマルグリス再塗布
3年以上使用しているPCでは、
サーマルグリスが乾燥して熱伝導効率が落ちている場合があります。
再塗布で:
- 温度5〜10℃改善
- ファン回転数低下
- クロック安定化
が起きるケースがあります。
特に中古PC・旧世代機では効果が大きいことがあります。
サーマルスロットリングが起きる仕組み
CPUには安全温度上限があります(例:95〜100℃)。
この温度に近づくと、自動的にクロックを下げます。
例:
- 定格 4.8GHz → 高温時 3.6GHz に低下
- マルチコア性能が20〜30%低下
この状態で動画書き出しを行うと、
理論性能より大幅に遅くなります。
確認方法(5分チェック)
- HWMonitor / HWiNFO を起動
- 書き出しを開始
- CPU温度とクロックを監視
チェックポイント:
- 90℃以上が継続していないか
- クロックが定格より大幅に下がっていないか
温度が高い=性能低下、という構造です。
ケース内エアフローも重要
クーラーだけでなく、ケース内の空気流れも重要です。
理想構成:
- 前面:吸気ファン
- 背面:排気ファン
- 上面:排気(可能なら)
吸気不足の場合、
高性能クーラーでも十分な効果が出ません。
判断基準
-
デスクトップで書き出し中に遅くなる
→ CPU温度を確認し、純正クーラーなら交換を検討 -
ノートPCで高負荷時に性能が落ちる
→ 冷却パッド+電源モード「最高パフォーマンス」 -
数年使用した PC
→ サーマルグリス劣化を疑う -
高性能CPUを使用している
→ 空冷から240mm以上の簡易水冷へ
冷却改善の優先順位
- 温度測定(現状把握)
- ケースエアフロー確認
- クーラー交換
- グリス再塗布
いきなり高価な水冷にする前に、
エアフローと温度計測が重要です。