調整レイヤーは便利な機能ですが、複数のエフェクトを重ねたり広い範囲に適用したりするほど処理負荷は増加します。調整レイヤーが重なるすべてのクリップに対して毎フレーム処理が実行される仕組みを理解すれば、パフォーマンスを維持したままカラーグレーディングを続けるための運用方針が立てられます。
原因の構造分解
調整レイヤーの処理範囲による負荷の増加
調整レイヤーは、タイムライン上でその調整レイヤーの下に重なるすべてのクリップに対して処理を適用します。調整レイヤーの長さが長いほど、処理対象のフレーム数が増えます。また複数の調整レイヤーを縦方向に重ねると、同じクリップに対して複数の調整処理が実行されます。
エフェクト数と処理の直列実行
1つの調整レイヤーに対して複数のエフェクトを適用すると、各エフェクトの処理は直列で実行されます。エフェクトAの出力がエフェクトBへの入力になるため、エフェクト数が増えるほど1フレームあたりの処理時間が伸びます。特にLumetriカラー、ノイズ除去、シャープネスを同一調整レイヤーに積み重ねるパターンは負荷が高くなります。
ネストによる問題の悪化
シーケンスをネストすると、Premiere Proは再生時にネストされたシーケンスを内部でレンダリングしてから親シーケンスに渡します。ネストの上に調整レイヤーを重ねると、ネスト内の処理と調整レイヤーの処理が加算され、負荷がさらに高くなります。ネストを多用する編集スタイルでは調整レイヤーの配置に注意が必要です。
Premiere 2025以降での調整レイヤー処理の変化
Premiere Proのバージョンによっては調整レイヤーの処理方式に変更が加わっている場合があります。特定のバージョンで調整レイヤーを多用した場合に従来よりも重くなったと感じる場合は、プレビューレンダリングを積極的に使うことで対処できます。
解決手順
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調整レイヤーのエフェクトを確認する — 調整レイヤーをクリックしてエフェクトコントロールパネルを開き、適用されているエフェクトの一覧を確認する。同種のエフェクトが重複していないか確認し、不要なものは削除する。
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調整レイヤーをセクションに分割する — 全体に1つの長い調整レイヤーを使う代わりに、シーンや区間ごとに短く分割する。不要な区間への処理が減り、全体の処理負荷が下がる。
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カラーグレーディング用と補正用の調整レイヤーを分ける — LumetriカラーとRGBカーブなどのカラー系と、シャープネス・ノイズ除去などの補正系は別の調整レイヤーに分けて管理すると、必要に応じて無効化しやすくなる。
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プレビューレンダリングで処理済みにする — 調整レイヤーを含む区間を選択して、シーケンス → イン点からアウト点をレンダリング(Enterキー)を実行する。レンダリング済みの区間はプレビューファイルを参照するため、再生時に調整レイヤーの処理が実行されなくなる。
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編集中は調整レイヤーを一時無効化する — 調整レイヤーを選択し、エフェクトコントロールパネルの「fx」ボタンですべてのエフェクトを無効化、またはタイムライン上で調整レイヤーのクリップ自体を「有効化」のチェックを外す(クリップを右クリック → 有効化)。書き出し前に再有効化する。
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プロキシ素材で編集する — 解像度が高い素材を使う場合、プロキシに切り替えると調整レイヤーの処理負荷も低解像度ベースになり大幅に軽くなる。クリップを右クリック → プロキシ → プロキシを作成 で設定できる。
判断基準
| 条件 | 推奨アクション |
|---|---|
| 調整レイヤー無効化で再生が改善 | 調整レイヤーのエフェクトが原因。プレビューレンダリングで対処 |
| 複数の調整レイヤーが縦に重なっている | 統合または不要レイヤーを削除して処理を減らす |
| ネスト上に調整レイヤーがある | ネスト内にカラグレを移すか、プレビューレンダリングを活用 |
| 4K素材で調整レイヤー多用 | プロキシ運用かGPUスペックの強化を検討 |
| プレビューレンダリングしても重い | PCのGPUまたはRAMが不足している可能性が高い |