RAM 16GB環境でPremiere Proの4K編集を行う場合、軽い作業なら実用範囲に収まる可能性があるが、素材の種類や作業内容によっては処理落ち・フリーズが発生しやすい状態にある。プロキシ設定とメモリ割り当て調整を組み合わせることで、多くのケースで動作を安定させられる。ただし、マルチカムや複数トラック編集を常用する場合は、32GBへの増設が実質的に必要になる。
原因の構造分解
RAM: 16GB環境での実際の消費量
Premiere Proは起動直後だけで4〜6GBのRAMを消費する。4K素材(H.264/H.265)を読み込むと、デコード処理のためにさらに3〜5GBが加わる。OS・ブラウザ・常駐アプリを合算すると、16GB環境では編集開始時点でRAM使用率が80〜90%に達する場合がある。
この状態で複数クリップを重ねたり、エフェクトをかけたりすると、RAMが枯渇してページファイル(仮想メモリ)への書き出しが始まり、タイムラインの再生がカクつく。
CPU: H.264/H.265の高負荷デコード
4K H.264・H.265はエンコード効率が高い反面、編集時のデコード処理がCPUに大きな負荷をかける。RAMが不足していると、デコードバッファを確保できずにフレームドロップが発生しやすくなる。
設定: Adobeへのメモリ割り当てのデフォルト値
デフォルト状態では、After Effectsなど他のAdobe製品用にもRAMが予約されている。Premiere Proしか使わない場合でも、この予約分がメモリを圧迫している可能性がある。
作業環境: 他アプリとの同時起動
Chrome・Slack・Discordなどを開いたまま編集作業をすると、それぞれが200MB〜1GB程度のRAMを消費する。16GB環境では、バックグラウンドアプリの整理が直接的なパフォーマンス改善につながる。
解決手順
手順1: タスクマネージャーでRAM使用量を確認する
- Ctrl+Shift+Escでタスクマネージャーを開く
- 「パフォーマンス」タブ → 「メモリ」を選択
- Premiere Pro起動中・素材読み込み後のメモリ使用量を確認する
- 14GB以上を使用している場合、設定改善とプロキシの両方が必要な状態と判断できる
手順2: Premiereへのメモリ割り当てを増やす
- 「編集」→「環境設定」→「メモリ」を開く
- 「他のすべてのアプリケーション用に確保するRAM」の値を確認する
- 16GB環境では、この値を4GBに設定する(Premiereに約12GBを割り当てる)
- OKをクリックしてPremiere Proを再起動する
手順3: プロキシを使用して編集負荷を下げる
- 「ファイル」→「新規」→「プロキシを作成」でプロキシを生成する(H.264 1080p程度を選択)
- プロキシ生成後、タイムライン左下の「プロキシを切り替え」ボタンをオンにする
- 編集中はプロキシで作業し、書き出し時に元素材に切り替わる仕組みになっている
- プロキシの保存先は高速なSSD(可能であれば素材用ドライブとは別の場所)を指定する
手順4: 不要なバックグラウンドアプリを終了する
- タスクマネージャーの「プロセス」タブでメモリ消費の大きいアプリを確認する
- Chrome・Slack・OneDriveなど、編集中に不要なアプリを終了する
- 常駐アプリは「スタートアップ」タブから自動起動を無効にすることも検討する
手順5: メディアキャッシュの場所をSSDに設定する
- 「編集」→「環境設定」→「メディアキャッシュ」を開く
- キャッシュの保存先がCドライブになっている場合、高速なNVMe SSDのドライブに変更する
- Cドライブの空き容量が少ない場合、これだけでも動作が改善する可能性がある
判断基準
| 条件 | 推奨アクション |
|---|---|
| 16GB・SSD使用・FHD素材のみ | 設定調整で実用範囲に収まる可能性が高い |
| 16GB・SSD使用・4K H.264/H.265 | プロキシ必須。快適とは言えない場合がある |
| 16GB・HDD使用・4K素材 | ディスクとメモリの両方がボトルネック。SSD換装を先に検討 |
| 16GB・マルチカム・複数エフェクト | 32GBへの増設が実質的に必要な状態 |
| 32GB以上・SSD使用 | 4K編集を快適に行える環境 |
プロキシを使っても再生が安定しない場合、RAMよりもCPU性能やSSD速度がボトルネックになっている可能性がある。動画編集に必要なPCスペックで各パーツの役割を確認することを推奨する。