16GBから32GBへのRAM増設は、Premiere Proの編集作業が実際にメモリ不足で制限されている場合に限り、明確な改善効果が得られる可能性がある。一方、ボトルネックがCPUやSSDにある場合は、32GBに増設しても体感速度がほぼ変わらないケースも多い。増設前に現在のメモリ使用量を確認し、投資対効果を見極めることが重要になる。
原因の構造分解
RAM: 16GBが限界になる具体的な状況
Premiere Proは4K H.264素材を複数クリップ扱う場合、OS・常駐アプリ込みで14〜16GBのRAMを消費することがある。この状態ではページファイル(仮想メモリ)への書き出しが発生し、タイムラインのスクラブやプレビュー再生にラグが出やすくなる。
After Effects Dynamic Linkとの連携作業は特にメモリ消費が大きく、16GB環境では両アプリが競合して安定動作しにくい状態になりやすい。
CPU: 増設では改善しないボトルネック
書き出し速度やエンコード速度はCPU性能に依存する割合が大きい。RAM増設後も書き出し時間が変わらない場合、ボトルネックはCPUである可能性が高い。
GPU: ハードウェアエンコード未活用の場合
GPU(グラフィックカード)のハードウェアエンコードが有効になっていないと、書き出しが全てCPU処理になる。この場合もRAM増設の効果は限定的になる。
SSD: ディスク速度が先にボトルネックになる場合
メディアキャッシュ・素材の読み込みがHDDや低速なSATASSDを経由している場合、RAMに余裕ができても素材供給速度がボトルネックとして残る。
解決手順
手順1: 現在のRAM使用量を確認する(増設前に必須)
- Premiere Proで通常の作業状態(素材読み込み・タイムライン展開済み)を再現する
- Ctrl+Shift+Escでタスクマネージャーを開く
- 「パフォーマンス」タブ → 「メモリ」を確認する
- 使用量が13GB未満の場合、RAM増設の優先度は低いと判断できる
- 使用量が14〜16GBに達している場合、増設によって改善が見込める可能性が高い
手順2: 増設後の効果が出やすい作業環境を確認する
増設後に改善が期待できるのは以下の状況に限られる場合が多い。
- マルチカム編集(4〜8カメラ以上)を行っている場合
- 4K素材を複数トラックで扱い、プレビューがカクつく場合
- After Effects Dynamic LinkやMedia Encoderを同時に起動する作業がある場合
- 大量のクリップをビン管理しながら整理する作業を行っている場合
手順3: RAM増設の手順概要
- PCのマザーボード仕様(最大RAM容量・対応規格)を製品ページまたはCPU-Zで確認する
- 現在のRAMのメーカー・型番・速度(DDR4-3200など)を確認する
- 同一規格のRAMを2枚組で追加するか、既存16GBを32GBに交換する
- 増設後はBIOSでRAMが正しく認識されているか(容量・速度)を確認する
- Windowsが起動したらタスクマネージャーで総RAM容量が正しく表示されているか確認する
手順4: 増設後にPremiere Proの設定を調整する
- 「編集」→「環境設定」→「メモリ」を開く
- 「他のすべてのアプリケーション用に確保するRAM」を32GB環境では8GBに設定する
- Premiereに約24GBを割り当てることで、After Effectsとの同時作業も余裕を持って行える状態になる
判断基準
| 条件 | 推奨アクション |
|---|---|
| タスクマネージャーのメモリ使用量が13GB未満 | RAM増設より先にSSD・GPU・設定を確認する |
| 使用量が14〜16GBに達し頻繁にカクつく | 32GB増設で改善が見込める可能性が高い |
| After Effectsとの同時作業が多い | 32GBを強く推奨(64GBも選択肢になる) |
| 書き出し速度が遅い・エンコードが重い | CPUまたはGPUがボトルネック。RAM増設では改善しない |
| SSD未使用(HDD環境)の場合 | SSD換装を先に行うほうが費用対効果が高い |
32GBでもさらに重さを感じる場合(64GB検討の目安)はRAM 32GB vs 64GBを参照してほしい。