Premiere Proでの動画編集では、SSDの速度が素材の読み込み・キャッシュ生成・書き出しの全てに影響する。HDDからSSDに変えるだけでも体感が大きく変わるケースが多いが、4K以上の高解像度素材を扱う場合はSSDの読み書き速度が直接的なボトルネックになる可能性がある。用途に合った規格と容量を選ぶことで、RAMやCPUの性能を最大限に引き出せる状態になる。
原因の構造分解
SSD: 解像度別に必要な読み取り速度の目安
動画素材の連続読み取りには、少なくとも素材のビットレート以上のディスク速度が必要になる。
- フルHD H.264(Premiere での標準編集素材): 約30〜100Mbps → 実質的にどのSSDでも対応できる
- 4K H.264(スマートフォン・一眼カメラ): 約100〜300Mbps → SATA SSDで概ね対応できる
- 4K ProRes / 4K RAW(シネマカメラ): 1,000〜6,000Mbps → NVMe SSDが必須になる
- 4K 60fps以上の素材を複数トラックで編集: NVMe Gen4推奨
設定: キャッシュとプレビューの書き込みが重なる
Premiere Proはメディアキャッシュ・コンフォームキャッシュ・プレビューファイルを同時に生成する場合がある。これらの書き込み先と素材の読み込み元が同じドライブにある場合、読み書きが競合して速度が低下しやすい。
環境: HDDを素材ドライブに使用しているケース
HDDの読み書き速度は一般的に100〜200MB/s程度で、SSD(SATA)の500MB/sや NVMe Gen3の3,000MB/sと比べて大きく劣る。タイムラインのスクラブ・再生・書き出し時に「ディスクI/Oを待つ」時間が発生しやすい。
容量: 編集素材とキャッシュの合計は予想以上に増える
4K H.264素材は1時間で約10〜30GB、ProResは1時間で約100〜400GBになる場合がある。さらにPremiere Proのメディアキャッシュが素材容量の30〜50%程度増加することも多く、余裕を持った容量が必要になる。
解決手順
手順1: 現在のSSDの速度を確認する
- CrystalDiskMarkなどのベンチマークツールをダウンロードして実行する
- シーケンシャル読み取り(SEQ1M Q8T1)の速度を確認する
- SATA SSD: 400〜550MB/s 程度
- NVMe Gen3: 2,000〜3,500MB/s 程度
- NVMe Gen4: 4,000〜7,000MB/s 程度
- この数値と扱う素材のビットレートを照合して、ボトルネックか否かを判断する
手順2: 推奨されるドライブ構成を検討する
動画編集での理想的な構成は、役割ごとにドライブを分けることで読み書きの競合を防ぐ形になる。
- OSドライブ(C:): NVMe SSD 500GB〜1TB(Windowsシステムとアプリを格納)
- 素材ドライブ(D:): NVMe SSD 1〜2TB(編集素材・プロジェクトファイルを格納)
- キャッシュドライブ(E:): SSD 500GB〜1TB(メディアキャッシュ・プレビューを格納)
予算の制約がある場合は、OSと素材を1本のNVMe SSDに収め、キャッシュだけ別ドライブに移す構成が次善策になる可能性がある。
手順3: Premiere Proのメディアキャッシュ保存先を変更する
- 「編集」→「環境設定」→「メディアキャッシュ」を開く
- 「メディアキャッシュファイル」の保存場所を確認する
- Cドライブ以外のドライブを参照して変更する
- 「メディアキャッシュデータベース」の保存先も同様に変更する
- OKをクリックして設定を保存する
手順4: スクラッチディスクの設定を確認する
- 「編集」→「環境設定」→「スクラッチディスク」を開く
- 「キャプチャしたビデオ」「プレビューファイル」の保存先が素材ドライブと分離されているか確認する
- 分離できていない場合は、高速なドライブに変更する
判断基準
| 使用環境 | 推奨SSD構成 |
|---|---|
| FHD H.264・1ドライブ構成 | SATA SSD 1TB で実用範囲に収まる |
| 4K H.264・複数クリップ編集 | NVMe Gen3 1TB 以上を推奨 |
| 4K ProRes / 4K 60fps | NVMe Gen3〜Gen4 2TB 以上を推奨 |
| 素材・キャッシュ・OS を1本に集約 | NVMe Gen4 2TB 以上が安全圏 |
| HDD を素材ドライブに使用中 | SSD換装が最優先。スペックより先に実施 |
HDDを使用している場合は、SSD換装が最も費用対効果の高い改善策になる可能性が高い。NVMe Gen3 vs Gen4 比較で選定の参考にしてほしい。